この車を初めて知ったのは、友人が新婚旅行で買ってきてくれたミニカーでした。1/24ブラーゴ社製の1986年モンテカルロのトイボネン仕様車でした。これが私のミニカー収集のきっかけとなっています。
話を戻します。既にグループBではアウディとそれに追随するプジョーが4WDの優位性を証明しており、2WDの037で戦うランチアにとっても4WD車両の開発は急務であり、必須でした。デルタS4は完成し、1985年最終戦のRACラリーでデビュー。H・トイボネンが見事にデビューウィン。890kgの車体に456ps(最終型は600ps)のエンジンを搭載するまさにモンスターマシンでした。乗員の安全性より勝つことを重視した「アルミニウム製の燃料タンクが運転席の真下に位置する」という危険なレイアウトが、1986年ツール・ド・コルスでのトイボネン・クレスト組の悲惨な死亡事故につながります。まさにメーカーの本気が仇になったのです。
M・ビアシオンは語っています。「工学的には間違ったコンセプトの車。競技性能のみを追求し、安全性については全く配慮していなかった」と否定しつつ「強烈に魅惑的な車で、自分に最も感動を与えてくれたラリーカーは間違いなくS4だった。狂った馬を抑え付け、支配できるような感覚は他の何者にも代えがたかった」と。百戦錬磨のドライバーにこう言わせるほど魅力がある車に間違いはありませんね。
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